焼き鳥屋の大将
夏本番に入る前の初夏のこの季節、
私、むしょうに焼き鳥が食べたくなります。
焼き鳥にはビール、ハイボール、ホッピー、焼酎…
なんでも合いますね♪
炭火にタレがぽたっと落ちてジュワっという音に、、
煙がもくもく立ち上がり、
甘っ辛いにおいと焦げたにおいが入り混じって何とも食欲をそそります。
私が好きな焼き鳥屋さん、
人気店なので、週末どころか平日も予約しないと入れないことがしばしば。
焼き鳥の味はもちろん、他のメニューも安くてとにかくおいしい。
人気店の要素はそれだけで十分かとは思われます。
が、しかし。
たまたまふらっと立ち寄ったその日は平日でした。
カウンター、テーブル、お座敷も満席。
持ち帰り用の焼き鳥を待っているお客さんもちらほら。
大将は焼き台の前で夢中に焼き鳥をひっくり返し、
そこに、おそらく今日がアルバイト初日なのかなという感じのお兄さん。
私はカウンターに座ってビールを飲んでました。
アルバイト初日のお兄さん、メモを見ながら必死にドリンクを作る。
「こっちの注文お願いね~」お客さんに注文を頼まれる。
「こっちのビールまだぁ?」奥のお座敷席のお客さんから。
「お会計お願いしま~す!」
お兄さん、どれから手をつけていいかわからず頭の中はパニック。
そんな表情でした。
てんやわんやな状況の中、大将が登場。
焼き台いっぱいに並んだ焼き鳥と、たまった注文伝票をチラッと見ながらも、
新人アルバイトのお兄さんに丁寧に仕事の優先順位を教える。
「(自分)これ持ってくはんで、これ持ってって」
大将、調理場を離れて自ら出来あがった焼き鳥を運んで、注文を取りに行く。
すごい!!と思いました。
ここの大将、いわゆる職人気質の気難しさや頑固さは
全く感じられません。
忙しいさ中、調理するのに手いっぱいでも、
声を荒げたりせずに、アルバイトさんに丁寧に指導。
そして自らも料理や飲み物を運んで行く。
このお店の人気店の重大な要素、ここにありました!!
味や値段はさることながら、この大将の人柄、
これに尽きるんじゃないかな。
そう感じた一場面でした。
このお店、何度も行ってますが、
大将が怒っているところは今まで見たことがありません。
ある日のこと、
店内の忙しさがひけてほっと一息ついた時、
「明日、店休みだからこれ食べちゃって」
と大将が枝豆をだしてくれましたことがありました。
お礼をいいながら枝豆を頂き、チャンス!と思って話しかけてみました。
「大将、すごいなーと思うんですけどね、すっごく忙しい時でも、
アルバイトの子に怒鳴ったり、不機嫌そうな顔ひとつもしないんですよね~。」
そしたら大将、にっこり笑って、
「楽しんで飲んでもらってるのに、怒ってもしょうがないじゃない」
と一言だけ。
ほんっとに素敵な焼き鳥やのおやじさんです。